第2回 日本骨免疫学会 受賞研究紹介


破骨細胞分化におけるエピジェネティクス制御遺伝子候補Cadm1の機能解析

キーワード:骨粗鬆症、破骨細胞、エピジェネティクス

優秀演題賞受賞 中村 伸哉 先生
(東京大学医学部 整形外科・脊椎外科)

 近年、解析技術の進歩とともにES細胞分化などにおけるエピジェネティクスな分化制御機構の解明が進んできているが、破骨細胞分化においてはほとんど解明されていない。細胞特異的分化に関与する遺伝子のプロモータ領域のヒストン修飾パターンが分化の過程でbivalent(H3K4me3(+), H3K27me3(+))からmonovalent(H3K4me3(+), H3K27me3(-))に変化することが報告されている。本研究では破骨細胞分化においてこのような制御を受ける遺伝子を同定し、その遺伝子の破骨細胞分化における機能について検討した。
 マウス骨髄細胞をM-CSFで培養し得られた骨髄細胞由来マクロファージ(BMMs)およびBMMsをM-CSF/RANKLで培養し得られた破骨細胞(OCs)に関して、ヒストンメチル化修飾変化(H3K4me3、H3K27me3)やNfatc1の結合の有無をChIP-seqの手法を用いて、遺伝子発現変化をRNA-seqの手法を用いて評価した。
 BMMsからOCsへの分化過程で、転写開始点周囲においてbivalentからmonovalentに変化する遺伝子のうち、一定以上の発現がみられる遺伝子を49個抽出した。それらの中で、Nfatc1の結合のある33個の遺伝子を破骨細胞分化におけるエピジェネティクス制御に重要な遺伝子の候補とした。これらの中から免疫グロブリンスーパーファミリー細胞接着分子群に属するCadm1(cell adhesion molecule 1)に着目した。Cadm1は細胞間接着を介して形態形成・維持に関与し、がん細胞の浸潤・転移を制御することも報告されている。Cadm1のノックアウトマウスの解析により、破骨細胞分化に差はないが、骨代謝回転の亢進、骨密度低下をきたすことを明らかにした。骨密度低下の原因として、骨芽細胞機能異常、破骨細胞・骨芽細胞間のカップリング機構の破綻などの可能性が示唆された。

写真:第2回日本骨免疫学会にて




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