第2回 日本骨免疫学会 受賞研究紹介


関節リウマチの遺伝的背景におけるマイクロRNA-標的遺伝子ネットワークの寄与

キーワード:マイクロRNA、疾患ゲノム解析、遺伝統計学

最優秀演題賞受賞 岡田 随象 先生
(大阪大学大学院医学系研究科 遺伝統計学)

要旨: マイクロRNAは生体内に存在する機能性小分子RNAであり、特定の標的遺伝子に結合し翻訳を制御する。マイクロRNAはバイオマーカーや治療標的として有用であるが、既存のスクリーニング手法は一部のマイクロRNAに対する機能的実験に限定されていた。我々は、大規模ヒト疾患ゲノム解析の成果とマイクロRNA-標的遺伝子ネットワークとのつながりを、コンピューター上で網羅的に検討する遺伝統計解析手法MIGWAS(miRNA–target gene enrichment analysis in GWAS)を開発し、疾患ゲノム情報に基づくマイクロRNAのインシリコ・スクリーニングを可能にした。18形質(身長、肥満、血液検査値、生化学検査値、生活習慣病、精神疾患、臓器疾患、免疫関連疾患、等)、175万人以上を対象とした既存のゲノムビッグデータ解析結果にMIGWASを適用したところ、関節リウマチ、腎機能、身長を含むヒト形質の遺伝的背景におけるマイクロRNA-標的遺伝子ネットワークの寄与が明らかとなった。関節リウマチにおいては特に有意な関与が認められ、ネットワーク構成要素の検討を通じて、新たな関節リウマチ感受性遺伝子PADI2およびPADI2の翻訳を制御するマイクロRNA miR-4728-5pが同定された。MIGWASは創薬シーズ探索手法としても有用と考えられ、より広範な疾患群に対しての適用拡大を検討している。

研究グループ: 大阪大学大学院医学系研究科 遺伝統計学教室は、平成28年4月に発足しました。遺伝統計学は、遺伝情報と形質情報の因果関係を統計学の観点から評価する学問です。次世代シークエンサー技術やSNPマイクロアレイなど、ゲノム配列解読技術の発展により大規模疾患ゲノム解析が可能となり、遺伝統計学の重要性が認識されています。本研究のように、一次的なデータ解析で得られた多層的なオミクス情報を統合し、疾患病態解明やゲノム創薬へとつなげる学問分野としても有用です。当研究室では、遺伝統計学の普及と若手研究者の人材育成を目標に、サマースクールを実施しています(遺伝統計学・夏の学校@大阪大学、平成28年8月に開催)。研究室メンバーも随時募集中ですので、興味のある方はご連絡下さい(Webサイト:http://www.sg.med.osaka-u.ac.jp/index.html)。


図:遺伝統計解析手法MIGWASによるマイクロRNAのインシリコ・スクリーニング


写真:遺伝統計学・夏の学校@大阪大学の風景





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