第2回 日本骨免疫学会 受賞研究紹介


敗血症において骨芽細胞の消失が免疫不全を誘導する

キーワード:敗血症、骨芽細胞、リンパ球共通前駆細胞

YIA賞受賞 寺島 明日香 先生
(東京大学大学院 医学系研究科 骨免疫学)

骨髄に存在する造血幹細胞の維持はニッチと呼ばれる微小環境に依存する。ニッチ構成細胞の研究が盛んだが、病的条件での骨髄微小環境と血球系細胞分化との関連は不明である。そこで、敗血症のような全身性炎症時に変動する血球細胞に対し、骨髄環境がどのように影響するかを検討した。興味深いことに、盲腸結紮穿刺誘導性敗血症モデルマウスでは、短期間で著しく骨量が減少した。この際、破骨細胞数に関してはコントロールとの差は無く、骨芽細胞数・骨形成が低下していた。骨髄ではミエロイド系前駆細胞数が増加する一方、リンパ球系前駆細胞(CLP)数が減少し、又、末梢のT、B細胞数が減少した。リンパ球数減少と骨芽細胞数減少が相関していたため、薬剤投与でOsterix (Osx)+細胞を欠失するOsx-Cre puΔtkマウスを使用して骨芽細胞の役割を調べた。骨芽細胞を除去すると、骨芽細胞数減少とともに骨髄中のCLP数が減少した。また、IL-7はリンパ球維持に重要だが、敗血症時の骨髄でも減少することを見出した。そこで、Osx-CreマウスとOsteocalcin-Creマウスを用いて骨芽細胞特異的IL-7欠損マウスを作製・解析すると、骨髄中のCLP数が減少するという敗血症時と同様の表現型を認めた。これは骨芽細胞由来IL-7がリンパ球分化を制御することを示す。PTH投与による骨芽細胞数増加は、敗血症時のリンパ球減少を抑制した。また、敗血症後の生存率は骨芽細胞除去マウスで低下した。以上から、骨芽細胞はIL-7を介しリンパ球分化を制御しており、敗血症等における免疫不全に対し骨芽細胞を標的とする治療の可能性を示した(図1)。


図1


写真:第2回日本骨免疫学会にて




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