理事長挨拶
日本骨免疫学会 理事長 高柳 広
(東京大学大学院医学系研究科 免疫学 教授)
骨免疫学は、免疫系と骨の相互作用や共通制御機構を扱う新規学際領域として、発展してきました。自己免疫応答により骨が破壊される関節リウマチの病態研究に端を発し、免疫分子の骨代謝制御機能などの解析によって骨免疫学の基礎研究は大きく進展しました。一方、TNF
やIL-6などといった炎症性サイトカインの阻害療法の骨免疫作用の解RANKLのように免疫と骨を結びつける重要な因子の機能解析と治療応用が進むと同時に、抗原提示・抗体産生などに関連した多くの分子を標的とした生物学的製剤が臨床応用され、ベッドサイドから新たな骨免疫学的な知見が集積してきています。さらに、骨構成細胞は造血幹細胞をはじめとする骨髄内の免疫細胞の支持細胞としても注目を集めています。骨髄の中に存在する細胞群は相互作用しながらいわば骨免疫系としてシステマティックに骨の三大機能であるミネラル代謝、骨強度維持、造血を司っていると考えるべき時代になりました。骨免疫学は一握りの研究者だけのものではなく、骨と免疫に関係する多方面の研究者、臨床家そして製薬企業にとって不可欠の視点となったのです。
今こそ、分野を越えた英知を結集して新たな課題に力を併せて取り組み、相互交流によって新規治療への道を開拓すべき時が訪れたと言えます。骨免疫学を冠する会議は、2006年に始まった国際骨免疫会議が良く知られておりますが、国内では、確立された組織はありませんでした。その中、平成26年第1回日本骨免疫会議を経て、その世話人および顧問が結集して、日本骨免疫学会が平成26年10月1日に発足致しました。
現在までに、平成27年に第1回学術集会、平成28年には第1回ウィンターセミナー、第2回学術集会を成功裡に終了し、新たな理事、顧問の先生方をお迎えし、我が国の骨免疫学の発展に貢献する体制が整って参りました。今後も、骨免疫学の進歩発展を図る学術集会を主催し、骨免疫学に関連する最新研究発表の場を提供すると同時に、骨免疫疾患の病態や治療についての討論や相互交流を通して、骨免疫学の発展や啓蒙に努めて参ります。研究分野や基礎・臨床・企業の境界を越えて骨免疫学が発展するよう多くの方々のご参加ご支援を期待しております。
日本骨免疫学会入会のご案内
日本骨免疫学会への入会をご希望の方はこちらをご確認ください。